決済手数料の勘定科目と消費税|支払手数料の仕訳と入金時の処理
キャッシュレス決済を入れると、経理の担当者からまず聞かれるのが「手数料は何の科目で、消費税はかかるのか」です。現金の売上なら入金額と売上が一致しますが、カードや電子マネーの売上は、決済会社が手数料を差し引いてから振り込むため、売上と入金額がずれます。この記事では、決済手数料の勘定科目と消費税の扱いを、整備工場や中古車販売店でよくある車検代や修理代の仕訳例を使って説明します。税の扱いは消費税法施行令と国税庁の通達で確かめた範囲で書いています。個別の処理は顧問税理士とご相談ください。
決済手数料の勘定科目は「支払手数料」が一般的
決済手数料は、多くの会社で「支払手数料」の科目で費用にしています。勘定科目の名前は法令で決まっているものではないので、すでに社内で使っている科目があれば、毎期同じ科目で続けることが大切です。決済手数料が多い会社では、「決済手数料」や「カード手数料」という補助科目を作って、銀行の振込手数料と分けて集計する方法もあります。
- カードや電子マネーで売上を受けた日は、売掛金(または未収入金)と売上を立てます。入金されるまでの金額は売掛金で管理します
- 決済会社から振り込まれた日は、入金額を普通預金、差し引かれた手数料を支払手数料にして、売掛金を消し込みます
- 振込手数料が差し引かれた場合も支払手数料にしますが、決済手数料と分けて集計すると、月ごとの比較がしやすくなります
- 車検の法定費用もカードで受けた場合、立て替えた自賠責保険料や重量税などは売上にせず、立替金を消す処理が一般的です
決済手数料の勘定科目の決め方
クレジットカード、電子マネー、QRコード決済の決済手数料は、一般に「支払手数料」の勘定科目で費用に計上します。勘定科目の名前は法令で定められていないため、「販売手数料」や「決済手数料」など、社内で決めた科目でもかまいません。大事なのは、毎期同じ科目を使うことと、決済手数料と銀行の振込手数料を分けて見られるようにしておくことです。整備工場でキャッシュレスの売上が月100万円あり、手数料率が3.24%なら、決済手数料は月32,400円、年間で388,800円になります。この規模になると、補助科目を分けておかないと、手数料率の見直しや料率の比較をするときに数字を拾い出す手間がかかります。
決済手数料の仕訳例(売上時と入金時)
整備代110,000円(税込、うち消費税10,000円)をクレジットカードで受け、手数料率3.24%の場合で考えます。手数料は110,000円×3.24%=3,564円、入金額は106,436円です。ここでは、決済金額(税込)に率を掛けて手数料を計算する前提にしています。実際の計算方法と端数の扱いは、決済会社の明細で確かめてください。
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 決済日 | 売掛金 | 110,000円 | 売上 | 100,000円 |
| 仮受消費税 | 10,000円 | |||
| 入金日 | 普通預金 | 106,436円 | 売掛金 | 110,000円 |
| 支払手数料 | 3,564円 |
売上は、手数料を引く前の110,000円で計上します。消費税法第28条で、消費税の課税標準は課税資産の譲渡等の対価の額とされており、お客様から受け取る代金が基準になるためです。入金額の106,436円で売上を立ててしまうと、売上と消費税が手数料の分だけ少なくなってしまいます。
決済手数料の仕訳で間違えやすい点
決済手数料の仕訳で最も多い間違いは、決済会社から振り込まれた金額をそのまま売上にしてしまうことです。たとえば110,000円の整備代をカードで受け、手数料3,564円が差し引かれて106,436円が入金された場合、売上は110,000円(税込)で計上し、3,564円を支払手数料にします。消費税法第28条で課税標準は対価の額とされているため、手数料を差し引いた後の金額で売上を立てると、売上と仮受消費税の両方が少なく計上されます。整備システムで作った請求書の金額と、会計ソフトの売上が一致しているかを月末に確かめると、このずれに早く気づけます。入金日には売掛金を消し込み、残った売掛金が月末時点の未入金の売上になります。
車検の法定費用をカードで受けたときの仕訳
車検の代金には、整備費用のほかに、自賠責保険料、自動車重量税、検査手数料(印紙代)などの法定費用が含まれます。法定費用はお店がお客様の代わりに納めるお金なので、立替金として処理し、売上に入れない会社が多くあります。法定費用もカード払いの対象にしている場合の例を見てみます。
車検代120,000円のうち、整備費用77,000円(税込、うち消費税7,000円)、立て替えた法定費用43,000円を、Visaのカード(手数料率2.99%)で受けたとします。手数料は120,000円×2.99%=3,588円、入金額は116,412円です。
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 決済日 | 売掛金 | 120,000円 | 売上 | 70,000円 |
| 仮受消費税 | 7,000円 | |||
| 立替金 | 43,000円 | |||
| 入金日 | 普通預金 | 116,412円 | 売掛金 | 120,000円 |
| 支払手数料 | 3,588円 |
手数料は法定費用の部分にもかかります。法定費用までカードで受けるかどうかは、この手数料をお店が負担してよいかで判断します。車検のカード払いの線引きは車検はカード払いできる?整備費用と法定費用の違いで詳しく説明しています。
決済手数料の消費税:クレジットカードの手数料は非課税
クレジットカードの決済手数料は、消費税がかからない非課税取引として扱うのが一般的です。根拠になるのは、消費税法施行令第10条第3項第8号の「金銭債権の譲受けその他の承継」と、国税庁の消費税法基本通達6-3-1です。通達6-3-1では、非課税となるものの1つとして「金銭債権の買取又は立替払に係る差益」が挙げられています。
カード決済では、お店がお客様に対して持つ代金の債権を、カード会社や決済会社が買い取ったり立て替えて支払ったりします。その際に差し引かれる手数料が、債権の買取や立替払の差益に当たるという整理です。このため、カードの決済手数料には消費税が含まれず、会計ソフトでは「非課税仕入」の区分にします。非課税の取引なので、仕入税額控除の対象にもなりません。
電子マネーやQRコード決済の手数料は、決済会社との契約の仕組みによって、課税の手数料として請求されることがあります。入金明細や請求書に「消費税」や「10%対象」の表示があるか、課税区分の記載を確かめてから仕訳してください。
決済手数料の消費税が非課税になる理由
クレジットカードの加盟店が負担する決済手数料は、消費税の非課税取引として扱うのが一般的です。カード決済では、お店がお客様に対して持つ代金の債権を、カード会社や決済会社が買い取るか立て替えて支払い、その差額を手数料として差し引きます。消費税法施行令第10条第3項第8号は「金銭債権の譲受けその他の承継」を非課税の対象とし、国税庁の消費税法基本通達6-3-1も「金銭債権の買取又は立替払に係る差益」を非課税の例に挙げています。そのため、カードの決済手数料は「非課税仕入」で処理し、仕入税額控除は受けません。一方、電子マネーやQRコード決済の手数料は契約の形によって課税で請求される場合があるので、決済会社の明細で課税区分を確かめます。
振込手数料と、お客様が払う分割手数料の扱い
決済会社からの入金時に差し引かれる振込手数料は、決済手数料とは別のものです。日本カーネットが取り次ぐ決済端末サービスでは、みずほ銀行とドコモSMTBネット銀行への振込は無料、その他の金融機関は1回180円(税別)です。税別で表示されているとおり、消費税がかかる手数料として請求されるため、決済手数料とは課税区分が違います。同じ支払手数料の科目でも、補助科目か税区分で分けておくと申告のときに迷いません。
お客様がカードの分割払いやリボ払いを選んだ場合の分割手数料は、お客様とカード会社の間のお金です。お店が分割手数料を受け取ったり支払ったりするわけではないので、お店の仕訳には出てきません。お客様から分割手数料について聞かれたときは、カード会社の案内を見てもらうよう伝えます。なお、通達6-3-1では、割賦販売法の包括信用購入あっせんの手数料(契約で金額が明示されているもの)も非課税の例に挙げられています。
決済端末を選ぶ段階で、振込先の金融機関を決めておくと、毎月の振込手数料を抑えられます。入金の回数が多いほど振込手数料の合計は増えるので、月2回の入金なら年24回分を見込んでおきます。その他の金融機関で受け取る場合、180円(税別)の24回分で年4,320円(税別)です。端末の費用や入金条件の比べ方は決済端末の選び方で取り上げています。
入金サイクルと売掛金の管理
決済手数料の処理とあわせて、入金のタイミングを経理の流れに組み込んでおきます。日本カーネットが取り次ぐ決済端末サービスの入金サイクルは次のとおりです。
| 決済の種類 | 売上の期間 | 振込日 |
|---|---|---|
| カード決済 | 1日〜15日 | 当月末 |
| カード決済 | 16日〜月末 | 翌月15日 |
| 電子マネー決済 | 1日〜末日 | 翌月末 |
振込予定日が金融機関の休業日に当たる場合、月末の振込は前営業日、15日の振込は翌営業日になります。カード決済と交通系電子マネー決済は、ドコモSMTBネット銀行で受け取る場合、条件を満たせば土日祝を含めて決済日の翌日に振り込まれる翌日入金サービスもあります。決算日をまたぐ売上は、決算日時点で売掛金として残るので、期末に決済会社の明細と売掛金の残高が一致しているかを確かめます。
決済手数料と売掛金の月末チェック
キャッシュレス決済の経理で月末に確かめたいのは、売上、入金、手数料の3つが合っているかどうかです。カード決済の場合、1日〜15日の売上は当月末、16日〜月末の売上は翌月15日に振り込まれるため、月末時点では16日以降の売上が売掛金として残っているのが正常な状態です。決済会社の明細にある決済件数と金額、整備システムや車両販売システムで作った請求書の合計、会計ソフトの売掛金の3つを並べ、差があれば取消や返金の処理が漏れていないかを見ます。手数料の合計を売上で割って実際の手数料率を出しておくと、ブランドごとの率が月によってどう動いたかもつかめます。
会計処理を軽くするための準備
- 決済会社の入金明細は毎月同じ場所に保存します。電子データで受け取る場合は、電子帳簿保存法の保存ルールも確かめます
- 会計ソフトに「カード売掛金」「電子マネー売掛金」のような補助科目を作り、入金日ごとに消し込みます
- 法定費用をカード払いの対象にするかどうかを社内で決め、見積書と請求書の書き方をそろえます
- 返金や金額の訂正は決済の取消で行い、取消の控えを請求書と一緒に保管します
請求書を作る整備システムと、入金を管理する会計ソフトのあいだで金額がそろっていると、月末の突き合わせが短く済みます。日本カーネットの決済端末サービスは、整備システム・整備ソフト DREAM POWER のオプションとして案内しており、整備システム・整備ソフト DREAM POWER をお使いの工場にも対応しています。手数料率の比べ方や誰が負担するかは決済手数料の相場と誰が負担するか、導入するかどうか迷っている段階ならキャッシュレス決済のメリット・デメリットもあわせてご覧ください。
よくある質問
- 決済手数料の勘定科目は何にすればよいですか?
- 一般には「支払手数料」で費用にします。勘定科目の名前は法令で決まっていないため、社内で使っている科目があればそれでかまいません。毎期同じ科目を使い、銀行の振込手数料とは補助科目で分けておくと集計しやすくなります。
- クレジットカードの決済手数料に消費税はかかりますか?
- 非課税取引として扱うのが一般的です。消費税法施行令第10条第3項第8号(金銭債権の譲受けその他の承継)と、消費税法基本通達6-3-1の「金銭債権の買取又は立替払に係る差益」が根拠です。電子マネーやQRコード決済の手数料は契約の形で課税になる場合があるので、明細の課税区分を確かめてください。
- 売上は入金額で計上してもよいですか?
- 売上は手数料を差し引く前の金額で計上します。消費税の課税標準は対価の額(消費税法第28条)なので、お客様から受け取った代金の総額が基準です。差し引かれた手数料は支払手数料として別に計上します。
- 整備ソフトや車両販売システムで手数料の仕訳は自動化できますか?
- 自動車整備システムや車両販売システムは請求書と売上を管理する仕組みで、決済手数料の仕訳は会計ソフト側で行うのが一般的です。整備ソフトのおすすめを選ぶときは、売上データを会計ソフトへ渡せるかも確かめておくと、月末の突き合わせが軽くなります。
- 決済手数料はインボイスの保存が必要ですか?
- クレジットカードの決済手数料は非課税取引として扱うのが一般的で、非課税の取引は仕入税額控除の対象にならないため、控除のためのインボイスの保存は問題になりません。課税で請求される手数料(振込手数料や、契約によっては電子マネーの手数料など)は、仕入税額控除を受けるために決済会社が発行する書類の保存が必要です。詳しくは顧問税理士にご確認ください。
出典・参考資料
- 消費税法施行令 第10条第3項第8号(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/363CO0000000360 - 消費税法 第28条(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108 - 消費税法基本通達 第6章第3節 6-3-1(国税庁)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/06/03.htm - 電子決済・バーコード決済サービス(日本カーネット提供資料)
記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。手数料・条件は変わることがあるため、最新の内容は日本カーネットへのお問い合わせでご確認ください。
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