チャージバックとは|高額な車検・鈑金・車両販売で起きることと備え
チャージバックとは、カードの利用者が「この支払いに覚えがない」「約束と違う」などと申し出たことをきっかけに、カード会社がいったん成立した売上を取り消す仕組みです。取り消された売上は、お店に入金されないか、入金済みなら返すことになります。車検や鈑金修理、車両代金のように1回の会計が大きい自動車業では、1件でも影響は小さくありません。この記事では、チャージバックの仕組みと、整備工場や中古車販売店で起こりうる場面、お店ができる備えを、経済産業省と日本クレジット協会の公表資料をもとに説明します。
チャージバックとは:国際ブランドが定めるルール
クレジットカードの取引には、お客様にカードを発行する会社(イシュアー)と、お店と加盟店契約を結ぶ会社(アクワイアラー)が関わっています。チャージバックは、この2社の間で使われるルールです。お店は当事者の外側にいます。それでも、結果の影響を最後に受けるのはお店です。
経済産業省は2015年3月の説明資料で、チャージバックルールを「国際ブランドが定めるイシュアー・アクワイアラー間のルール」と説明しています。取引が国際ブランドごとに定める一定の事由(リーズン)に当たると立証された場合に、イシュアーがアクワイアラーに主張できる権利で、法令上も契約上も消費者の権利ではない、とされています。つまり、お客様が申し出ればいつでも取り消されるわけではなく、ブランドの決めた事由に当たるかどうかで判断されます。
お店の側から見ると、アクワイアラーやその先の決済会社から取引の内容について問い合わせを受け、説明や資料の提出を求められるのが入口です。日本弁護士連合会が内閣府の消費者委員会に出した資料では、イシュアーから加盟店等に事実関係を確認し、確認の応答がないなどの場合にキャンセル処理される制度と説明されています。問い合わせに答えずにいると、売上が取り消されることがあるということです。放っておかないこと。これが最初の備えになります。
チャージバックの仕組み
チャージバックとは、Visa、Mastercard、JCBなどの国際ブランドが定めるルールにもとづき、カードを発行した会社(イシュアー)が、お店と契約しているカード会社(アクワイアラー)に対して売上の取消しを求める仕組みです。経済産業省は2015年3月の資料で、取引が国際ブランドごとの一定の事由(リーズン)に当たると立証された場合にイシュアーが主張できる権利であり、法令上も契約上も消費者の権利ではないと説明しています。お店にとっての実務は、決済会社から取引内容の問い合わせを受け、見積書や請求書、作業の記録などで説明することです。説明ができないと売上が取り消され、お店は代金を受け取れなくなるか、入金済みの代金を返すことになります。
クレジットカード不正利用の現状(2025年は510.5億円)
チャージバックのきっかけとして多いのが、他人のカードを使った不正利用です。日本クレジット協会によると、クレジットカードの不正利用被害額は2024年に過去最多の555.0億円となり、そのうち92.5%がインターネット取引での「番号盗用」でした。2025年は510.5億円で、前年より被害額、不正発生率ともに減っています。
クレジットカード・セキュリティガイドライン6.1版は、2025年の被害額約510.5億円のうち約9割を、EC加盟店で他人になりすましてカードを使う「なりすまし」の被害が占めているとしています。一方、店頭での取引については、ICチップを読み取る取引が定着したことで、偽造カードによる不正利用被害は減少傾向が続いていると説明しています。
店頭の会計と不正利用のリスク
クレジットカードの不正利用被害は2025年に510.5億円で、その約9割はインターネット通販などの非対面取引で起きた「なりすまし」によるものです。日本クレジット協会は、店頭の対面取引ではICチップを読み取る取引が定着したことで偽造カードの被害が減り続けており、対面の不正利用対策としてはIC取引が最も効果的だと説明しています。整備工場や中古車販売店の会計は、お客様が来店して端末にカードを差し込む対面取引が中心なので、ICの読み取りと暗証番号の入力を守っていれば、リスクは非対面より低く抑えられます。反対に、電話でカード番号を聞き取って決済するような運用を始めると、お店がなりすましの被害を受ける側に回ります。
自動車業でチャージバックが起こりうる場面
チャージバックになるかどうかは、国際ブランドが定めた事由に当たるかで決まり、細かな基準はブランドや契約によって違います。ここでは、整備工場や中古車販売店の会計に当てはめて、問い合わせを受けやすい場面を挙げます。
| 場面 | 起こりうること | お店の備え |
|---|---|---|
| 盗まれたカードや他人のカードでの高額会計 | カードの持ち主が身に覚えのない利用として申し出る | カードを端末に読み取らせ、暗証番号をお客様に入力してもらう |
| 電話やメールでカード番号を聞いて決済 | 本人確認ができず、なりすましを防げない | カード番号を聞き取る運用をしない。来店時に端末で決済する |
| 追加整備や修理内容についての行き違い | 頼んでいない作業の代金だと申し出られる | 追加作業の承諾を日時と方法つきで記録する |
| 鈑金塗装の仕上がりへの不満 | 約束した内容と違うと申し出られる | 見積書に作業範囲を書き、引渡し時に仕上がりを一緒に確認する |
| 中古車の納車前のキャンセル | 車両代金や諸費用の返金をめぐって行き違う | 契約書に解約の条件を書き、返金は決済の取消で行う |
| 金額の打ち間違いや二重決済 | 同じ代金が2回請求されたと申し出られる | その日のうちに取消で直し、取消の控えを残す |
多くの場面は、来店時に端末で決済し、作業の内容とお客様の承諾を記録しておくことで防げます。記録は短くてかまいません。金額の大きい会計ほど、見積書、作業指示書、請求書、引渡しの記録が1組そろっているかを確かめておきます。
高額な車検・鈑金・車両販売とチャージバック
自動車業でチャージバックの影響が大きいのは、1回の会計が10万円を超える車検、鈑金塗装の自費修理、中古車の車両代金です。飲食店なら数千円で済む取消しが、自動車業では数十万円になることがあります。起こりうる場面は大きく3つで、他人のカードによる不正利用、作業内容や仕上がりをめぐる行き違い、金額の打ち間違いなどの処理の誤りです。不正利用はICの読み取りと暗証番号の入力で、行き違いは見積書と追加作業の承諾の記録で、処理の誤りは当日中の取消で防ぎます。問い合わせを受けたときにすぐ出せるよう、車両ごと、作業ごとに書類をまとめて保管しておくと対応が早くなります。
加盟店に求められるセキュリティ対策(割賦販売法とガイドライン)
2018年6月1日に施行された改正割賦販売法で、クレジットカードを扱う加盟店にも、カード番号等の適切な管理と不正利用を防ぐ措置が義務付けられました。その実務の指針がクレジットカード・セキュリティガイドラインで、2026年3月に6.1版が公表されています。店頭でカードを受ける整備工場や中古車販売店に関係する主な内容は次のとおりです。
- 設置する決済端末の全てをIC対応にします
- IC取引の本人確認は、原則として暗証番号(PIN)の入力です
- 暗証番号を忘れたお客様にサインで代えるPINバイパスは、現在は認められていません
- サインは国際ブランドのルールで本人確認としての有効性が認められていませんが、お店の業務で必要なら取ってもかまいません
- カード情報をお店の機器やネットワークで保存、処理、通過させない「非保持化」を進めます。IC対応の決済専用端末だけでカード情報を外部へ送る形は非保持化に当たります
なお、インターネットで販売するEC加盟店については、カード会社が把握する不正利用金額が3か月連続で50万円を超えると「不正顕在化加盟店」とされ、追加の対策が求められます。店頭の会計が中心の整備工場でも、電話やネットでカード番号を受け付ける運用を始めると、非対面取引の対策が必要になることを覚えておきます。
整備工場がまず守るべきカード決済のルール
整備工場や中古車販売店がチャージバックと不正利用を防ぐために最初に守るべきことは、カードを必ずお客様の前でIC対応の決済端末に読み取らせ、暗証番号をお客様自身に入力してもらうことです。クレジットカード・セキュリティガイドライン6.1版(2026年3月)は、対面の加盟店に対して設置する決済端末の全てをIC対応にすることを求め、本人確認は原則として暗証番号の入力としています。暗証番号の代わりにサインを取るPINバイパスは廃止されており、暗証番号がわからないお客様には別の支払い方法を案内します。カード番号を紙に控えたり、電話で聞き取ったりしないことも大切で、端末に通すだけの運用にしておくと、カード情報の管理の負担も減ります。
チャージバックの問い合わせを受けたときの対応
- 決済会社からの連絡の内容(対象の取引日、金額、回答の期限)を確かめます
- その取引の見積書、作業指示書、請求書、決済端末の控え、引渡しの記録を集めます
- お客様との連絡の記録(追加作業の承諾、日時、方法)を時系列で整理します
- 期限内に決済会社へ回答します。回答しないと、売上が取り消されることがあります
- お客様と直接話せる場合は、行き違いの内容を確かめ、必要なら決済の取消で返金します
回答の期限や提出する書類の形式は、決済会社や国際ブランドによって違います。連絡を受けたら、まず期限を確認します。次に担当者を決めます。お店のほうで返金に応じる場合も、現金で返すのではなく決済の取消で処理すると、カードの明細とお店の記録が一致します。
日本カーネットが取り次ぐ決済端末サービスでの備え
日本カーネットが取り次ぐ決済端末サービスは、1台でクレジットカード、電子マネー、QRコード決済の約70ブランドに対応するオールインワン決済端末をレンタルで提供しています。端末のレンタル費用、初期設定費用、月額利用料は0円(適用には条件あり、通信環境は別途)です。24時間365日の電話窓口があり、必要に応じて後日エンジニアが訪問します。故障したときは無償で交換されるため、端末が止まって会計を後日に回す、という事態を減らせます。
端末の比べ方は決済端末の選び方、導入するかどうかの判断材料はキャッシュレス決済のメリット・デメリットで整理しています。車検代のカード払いの線引きは車検はカード払いできる?整備費用と法定費用の違いをご覧ください。
よくある質問
- チャージバックとは何ですか?
- カードの利用者からの申し出などをきっかけに、カードを発行した会社が、お店と契約しているカード会社に売上の取消しを求める仕組みです。国際ブランドが定めたルールで、取引がブランドごとの一定の事由に当たると立証された場合に認められます。売上が取り消されると、お店は代金を受け取れないか、入金済みの代金を返すことになります。
- 店頭でカードを読み取った取引でもチャージバックはありますか?
- あります。盗まれたカードによる利用や、作業内容をめぐる行き違いなどで問い合わせを受けることがあります。ただし、店頭でICチップを読み取り、暗証番号を入力してもらう取引では、偽造カードによる不正利用被害は減り続けていると日本クレジット協会は説明しています。
- お客様が暗証番号を忘れた場合、サインで受けてもよいですか?
- 暗証番号の代わりにサインで取引するPINバイパスは、現在は認められていません。別のカードや別の支払い方法を案内してください。見積りの段階で、カード払いには暗証番号が必要だと伝えておくと安心です。
- 電話でカード番号を聞いて決済してもよいですか?
- カードを読み取らない非対面の取引になり、本人確認ができないため、なりすましの被害を受けやすくなります。整備代や車両代金は、来店時に決済端末で受けるのが安全です。
- 自動車整備システムで作業記録を残しておくと役立ちますか?
- 見積書、作業指示書、請求書を自動車整備システムや整備ソフトで作り、車両ごとに保存しておくと、問い合わせを受けたときにすぐ出せます。整備ソフトのおすすめを探す際は、追加作業の承諾や作業内容の履歴を残せるかも確かめておくと、チャージバックへの備えになります。
出典・参考資料
- 御説明資料(経済産業省、2015年3月24日、内閣府消費者委員会 第188回 資料3-2-2)
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2015/188/doc/20150324_shiryou3_2_2.pdf - 資料3(日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会 委員提出資料、内閣府消費者委員会 第167回、2014年7月22日)
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2014/167/doc/140722_shiryou3_1.pdf - クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.1版】(クレジット取引セキュリティ対策協議会、2026年3月)
https://www.j-credit.or.jp/security/pdf/Creditcardsecurityguidelines_6.1_published.pdf - 加盟店(クレジットカードを取り扱うお店)の皆様へ(一般社団法人日本クレジット協会)
https://www.j-credit.or.jp/security/understanding/member-store.html - クレジットカード不正利用5つの対策(一般社団法人日本クレジット協会)
https://www.j-credit.or.jp/security/knowledge.html - 電子決済・バーコード決済サービス(日本カーネット提供資料)
記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。手数料・条件は変わることがあるため、最新の内容は日本カーネットへのお問い合わせでご確認ください。
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