キャッシュレス決済のメリット・デメリット|整備工場と車販店の場合

キャッシュレス決済のメリットとデメリットは、どんなお店で使うかで重みが変わります。整備工場や中古車販売店は、車検や鈑金修理、車両代金のように1回の会計が大きく、しかも会計の回数は飲食店ほど多くありません。この記事では、お店側とお客様側のメリット・デメリットを分けて整理し、自動車業でデメリットを小さくする導入の工夫までを、経済産業省の統計とあわせて説明します。

キャッシュレス決済の利用状況(2025年は58.0%)

経済産業省が2026年3月31日に公表した数字では、2025年のキャッシュレス決済額は162.7兆円で、キャッシュレス決済比率は国内指標で58.0%でした。従来から使われてきた国際比較指標では46.3%です。決済額の内訳はクレジットカードが82.7%(134.6兆円)、コード決済が10.2%(16.6兆円)、電子マネーが3.7%(6.0兆円)、デビットカードが3.4%(5.5兆円)でした。

東京都の調査では、都内在住者の2025年度のキャッシュレス決済比率(金額ベース)は62.2%で、前年度から1.5ポイント上がっています。お客様の側では、支払いの半分以上がすでに現金以外になっているということです。比率の推移と自動車業への影響はキャッシュレス決済比率の推移と自動車整備・車販への影響で詳しく見ています。

キャッシュレス決済が自動車業で無視できない理由

2025年のキャッシュレス決済比率は、経済産業省の国内指標で58.0%、国際比較指標で46.3%でした。決済額162.7兆円のうち82.7%をクレジットカードが占めており、高額の支払いほどカードが使われていることがうかがえます。車検や鈑金修理は数万円から十数万円、中古車の車両代金は数十万円以上になることが多く、自動車業はまさにカードで払いたいと考えるお客様が多い金額帯の会計です。現金しか受けないお店では、お客様が支払いのためにATMへ寄る手間が生じ、それが入庫先や購入先を選ぶときの判断材料になることがあります。キャッシュレス決済に対応するかどうかは、値引きや技術力と並ぶ、お店選びの条件の1つになっています。

キャッシュレス決済のメリット(整備工場・車販店の場合)

お店側の主なメリットは次のとおりです。

  • 支払い方法を理由にした先送りや失注が減る。手持ちの現金が足りないお客様でも、その場で会計できる
  • カードの分割払い、リボ払い、ボーナス払いを使えば、十数万円の車検や修理でも入庫を先に延ばされにくい
  • レジの釣り銭を用意する量が減り、閉店後の現金の数え直しや銀行への入金の手間が軽くなる
  • 売上の記録が決済会社の明細に残るため、請求書と入金の突き合わせがしやすい
  • 現金を店内に置く金額が減るので、盗難や紛失の心配が小さくなる
  • 電子マネーやQRコード決済で、オイル交換や用品販売の少額会計も早く済む

整備工場で特に効くのは、追加整備の提案が通りやすくなる点です。車検の点検でブレーキパッドやタイヤの交換が必要とわかっても、手持ちの現金を気にして次回に回すお客様は少なくありません。分割払いを案内できれば、安全に関わる整備をその場で済ませる判断がしやすくなります。

キャッシュレス決済のメリットが大きい会計

自動車業でキャッシュレス決済のメリットが最も大きいのは、10万円前後以上の会計です。車検、鈑金塗装の自費修理、タイヤ4本の交換、中古車の頭金や諸費用などがこれに当たります。この金額帯では、お客様が財布に現金を用意していないことが多く、現金しか受けられないと「後日払いに来ます」「また今度にします」という返事になりやすくなります。カードの分割払いやボーナス払いに対応した決済端末があれば、その場で支払い方法を選んでもらえます。一方、オイル交換やワイパー交換のような数千円の会計では、メリットは主に会計の速さと釣り銭の手間が減ることです。金額帯ごとに得られる効果が違うので、自店の会計の内訳を見て判断します。

キャッシュレス決済のデメリット(整備工場・車販店の場合)

お店側の主なデメリットは次のとおりです。

デメリット内容自動車業での影響
決済手数料決済金額に対して数%の手数料がかかり、お店が負担する10万円の車検で3.24%なら3,240円。高額会計が多いほど金額が大きくなる
入金までの日数現金のようにその日に手元に入らず、決済会社からの振込を待つ部品商への支払い日と入金日がずれると、月末の資金繰りに響く
通信や端末のトラブル通信障害や端末の故障で決済できないことがある納車が集中する土曜や月末に止まると、精算を後日に回すことになる
返金や取消の手間返品や金額の訂正は決済の取消で行う鈑金の追加作業で金額が変わったときに、取り直しが必要になる
不正利用への備え盗難カードや他人のカードによる支払いのリスクがある高額会計が狙われやすい。暗証番号の入力など本人確認のルールを守る
導入時の手続き申込みと審査、端末の設定が必要導入までに日数がかかるため、繁忙期の前に準備する

カード払いのお客様にだけ手数料を上乗せする扱いは、契約する決済会社の加盟店規約に反するおそれがあるため、規約を必ず確かめます。手数料は原価の一部として価格に織り込むのが基本の考え方です。詳しくは決済手数料の相場と誰が負担するかをご覧ください。

キャッシュレス決済のデメリットで最も大きいもの

整備工場や中古車販売店にとって、キャッシュレス決済の最も大きなデメリットは、決済手数料と入金までの日数の2つです。決済手数料は売上に比例して増え、10万円の会計で率が3.24%なら3,240円、30万円なら9,720円をお店が負担します。入金までの日数は、カード決済で月2回、電子マネーで月1回の振込といった決まりがあり、電子マネーの月初の売上は翌月末の入金になるため、売上の日から入金まで2か月近く空くことがあります。部品代や外注の鈑金代を月末に払う工場では、キャッシュレスの比率が上がるほど、月末の手元資金が薄くなる時期が出てきます。どちらも事前に試算すれば対策を立てられるデメリットなので、導入前に、直近3か月の売上をもとに手数料と入金日を計算しておくと安心です。

お客様側のメリット・デメリット

お客様の側から見たキャッシュレス決済のメリットは、現金を用意しなくてよいこと、カードのポイントがたまること、分割払いで支払いを平らにできることです。法人のお客様であれば、社員が立て替えずに法人カードで払えると経費精算が楽になります。

デメリットとしては、使いすぎに気づきにくいこと、分割払いやリボ払いには手数料がかかること、カードの利用枠を超える金額は払えないことが挙げられます。車検や車両代金のような高額の会計では、利用枠が足りずに一部を現金で払う、というお客様もいます。お店としては、カードと現金の併用を受けるか、事前に利用枠の確認をお願いするか、方針を決めておくと会計がもめません。

お客様がキャッシュレス決済を選ぶ理由

お客様がキャッシュレス決済を選ぶ理由は、手元に現金がなくても払えること、カードのポイントがたまること、分割払いで1か月あたりの負担を小さくできることの3つが中心です。自家用乗用車の車検は2年に1度(新車の初回は3年)の出費なので、毎月の家計で用意しているお客様は多くありません。そのため、車検の時期に別の大きな出費が重なると、整備を最低限に絞ったり入庫を延ばしたりする判断につながります。支払い方法の選択肢があると、お客様は整備の中身そのもので判断できるようになります。反対に、カードの利用枠や分割払いの手数料はお客様側の負担なので、お店から無理に勧めず、選べるようにしておく姿勢が信頼につながります。

業務別に見たキャッシュレス決済の向き不向き

同じ自動車業でも、業務によってキャッシュレス決済の効き方は違います。金額、支払いのタイミング、お客様の層で分けると、次のようになります。

業務会計の金額の目安キャッシュレス決済の効き方
車検数万円〜十数万円効果が大きい。分割払いやボーナス払いで追加整備も通りやすい
一般整備・故障修理数千円〜数十万円故障は予定外の出費なので、カードで払えるかを気にするお客様が多い
鈑金塗装(自費修理)数万円〜数十万円見積りの時点で分割払いを示せると、修理するかどうかの判断が早くなる
タイヤ・バッテリー交換数千円〜十数万円季節の交換が重なる時期の会計を短くできる
オイル交換・用品販売数千円電子マネーやQRコード決済で会計が早く済む。手数料の金額は小さい
中古車の車両代金数十万円以上利用枠の確認が要る。頭金や諸費用だけカードで受ける形もある

向かない業務はほとんどありません。ただし、法人の大口取引で毎月まとめて請求している場合は、決済端末よりも請求書払いのほうが合うことがあります。法人のお客様の整備代をカードで受ける方法は請求書カード払いで受け取る方法で扱っています。

業務別に見たキャッシュレス決済の効果

整備工場と中古車販売店でキャッシュレス決済の効果が大きい順に並べると、車検、鈑金塗装の自費修理、故障修理、車両代金の頭金や諸費用、タイヤやバッテリーの交換、オイル交換や用品販売となります。上位の業務ほど1回の会計が大きく、支払い方法を理由にした先送りが起きやすいからです。効果は金額だけで決まりません。故障修理は予定外の出費なので、たとえ数万円でもカードで払いたいお客様が増えます。反対に、オイル交換のような数千円の会計は、手数料の金額が小さい代わりに、効果も会計時間の短縮が中心です。導入を決める前に、直近1か月の請求書を金額帯ごとに数えてみると、自店でどの程度の効果が見込めるかがつかめます。

デメリットを小さくするキャッシュレス決済の導入の工夫

デメリットの多くは、導入前の準備と運用のルールで小さくできます。

  1. 固定費のかからない形を選ぶ:端末代と月額利用料が0円なら、売上が少ない月の負担は手数料だけになる
  2. 入金サイクルを確かめる:カードと電子マネーで振込日が違う。部品代の支払い日と並べて資金繰り表に書き込む
  3. 対象にする費用を決める:車検の法定費用をカード払いの対象にするかを決め、見積書と店頭に表示する
  4. 本人確認のルールを守る:カードは端末に差し込んでもらい、暗証番号を入力してもらう。カード番号を紙に控えない
  5. トラブル時の連絡先を貼っておく:端末が止まったときの問い合わせ先を、受付の見える場所に置く

決済端末を比べるときの項目は決済端末の選び方でまとめています。

日本カーネットが取り次ぐ決済端末サービスでできること

日本カーネットは、自動車業の方に限り、決済端末サービスを取り次いでいます。端末のレンタル費用、初期設定費用、月額利用料はいずれも0円(適用には条件あり、通信環境は別途)で、1台で約70ブランドの支払い方法に対応します。決済手数料はカード(Visa/Mastercard)2.99%〜、その他カード、電子マネー、QRコード決済が3.24%〜です。

カード決済の入金は、1日〜15日の売上が月末、16日〜月末の売上が翌月15日の月2回です。カード決済と交通系電子マネー決済は、ドコモSMTBネット銀行で受け取る場合、条件を満たせば土日祝を含めて決済日の翌日に振り込まれる翌日入金サービスも使えます。24時間365日の電話窓口があり、レンタルのため故障したときは無償で交換されます。導入の手順は整備工場のキャッシュレス決済導入ガイドをご覧ください。

よくある質問

キャッシュレス決済の一番のデメリットは何ですか?
お店側では、決済手数料がかかることと、入金までに日数があることです。10万円の会計で手数料率3.24%なら3,240円をお店が負担し、入金はカードなら月2回、電子マネーなら月1回などの決まった日になります。導入前に、直近の売上で手数料と入金日を試算しておくと対策を立てやすくなります。
決済手数料をお客様に上乗せしてもよいですか?
カード払いのお客様にだけ手数料を上乗せする扱いは、契約する決済会社の加盟店規約に反するおそれがあります。規約を確かめたうえで、手数料は原価として価格に織り込み、支払い方法で金額を変えない設計にするのが安全です。
小さな整備工場でもキャッシュレス決済を入れる意味はありますか?
車検や修理など10万円前後の会計がある工場なら、規模にかかわらず効果が出やすいと考えられます。固定費のかからない形を選べば、会計が少ない月の負担は手数料だけです。まずは自店の会計のうち、何割が5万円を超えるかを数えてみてください。
車両販売システムや整備システムとキャッシュレス決済は一緒に入れるべきですか?
車両販売システムや自動車整備システムは請求書や見積書を作る仕組みで、決済端末は代金を受け取る仕組みなので、別々に入れても使えます。日本カーネットの決済端末サービスは整備システム・整備ソフト DREAM POWER のオプションとして案内しており、請求書づくりから入金までの流れをまとめて相談いただけます。
キャッシュレス決済で不正利用されたらどうなりますか?
不正利用が疑われる取引は、カード会社の調査の結果、売上が取り消されることがあります。対面の会計では、カードを端末に読み取らせて暗証番号を入力してもらうことが基本の備えです。詳しくはチャージバックとはで説明しています。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。手数料・条件は変わることがあるため、最新の内容は日本カーネットへのお問い合わせでご確認ください。

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